SNSキャンペーン 活用ガイド
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< 記事一覧共創マーケティングの定義だけでなく、メリット、実践方法、成功事例まで。顧客の声を活かし新たなアイデアを生み出す方法、信頼関係の構築の効果を自社事例を交えて詳しく解説します。共創マーケティングが適する業界やSNSキャンペーンのタイミングなど、よくある質問にも答えます。
更新日:2024.1.26 公開日:2024.1.24
現代のマーケティングでは、単に製品を売るだけでは不十分です。顧客と共に価値を創造し、より深い関係を築き、長期的な成長へと繋げる必要があります。
共創マーケティングとは、企業と顧客が協力して新たなアイデアを生み出し、信頼関係を構築する方法です。
本記事では、共創マーケティングの定義からメリット、実践方法、さらには成功事例に至るまでを、業界の専門家である安藤久美子さんと林田光生さんの視点を交えながら詳しく解説します。
〇安藤 久美子
株式会社ピクルス キャンつく事業部
武蔵野美術大学卒。紙面デザインを5年行い、2017年にピクルスにジョイン、様々なプロモーションのディレクション及びデザインを手掛ける。2021年からCDに。女性向け商材が得意ジャンル。マーケティングの上流工程から支援を中心にご支援。
〇林田 光生
株式会社クリエイティブホープ invy事業部 マーケティングプランナー
2023年〜(株)クリエイティブホープに参画。リファラルマーケティングクラウド「invy」のマーケティング部門のマネジメントやセールスに従事。デジタルを活用した紹介キャンペーンの企画〜運用までの支援を行う。副業ではYouTube・Instagramにて「シンプリストはやし(総フォロワー9万人超え)」としてシンプルな暮らし・ライフスタイルを発信(現在もインフルエンサー業は継続)。
共創マーケティングを実践して新たなアイデアを生み出し、顧客との信頼関係を構築したい方は参考にしてください。
▼共創マーケティングについて動画でも解説しています!
目次
安藤:
共創マーケティングとは、企業と顧客が協力して新しい価値を想像するマーケティング手法です。
伝統的なマーケティングでは、企業が商材を開発し、情報を顧客に提供していました。しかし、共創マーケティングは、企業と顧客が協力して、より良い製品やサービスを開発し、価値を想像することを目的としています。
そのため、企業と顧客の関係をより良いものにし、製品やサービスの品質を向上させることができます。また、顧客満足度を高め、企業の競争力を強化することにも繋がります。
共創マーケティングを実践して競争力を高めるためには、以下の3点が重要です。
1 深い顧客理解
市場調査や消費者との直接的な対話を通じて、顧客のニーズを理解する。
2 競合との差別化
競合他社とは異なる独自の価値提案を行い、顧客にとって魅力的な製品やサービスを提供する。
3 イノベーションの推進
常に市場の変化に対応し、新しい技術やアイデアを取り入れて製品開発を進める。
安藤:
共創マーケティングのメリットは、以下の3点です。
1 顧客の声を取り入れられる
2 新たなアイデアの創造が可能
3 顧客との信頼関係構築が可能
共創マーケティングを通じて、企業は顧客のポジティブな意見を簡単に収集することができます。従来はネガティブなクレームが多かったものの、共創マーケティングを実践することで、より幅広い顧客の声を拾うことが可能になり、顧客満足度の向上につながります。
さらに、顧客の具体的な意見やアイデアを製品やサービスに直接反映させることもできるため、顧客ニーズに沿った製品開発が可能になります。
共創マーケティングにより、企業は従来の固定概念にとらわれず、革新的なアイデアや視点を採り入れることができます。そのため、今までに無かった企業や製品の強みを発揮し、市場での競争力を高めることが可能になります。
また、企業と顧客が協力して製品やサービスを開発することで、新しいニーズや要望を発見し、より良い製品やサービスを作り上げることができます。
共創マーケティングを実施することで、企業は消費者との間に強固な信頼関係を築くことができます。顧客の声を積極的に拾い上げることで、企業は顧客のニーズに応え、長期的な関係性の構築が可能になります。
共同で製品開発を行う過程で、顧客は自分たちのアイデアや要望が実際に形になることを実感でき、企業は顧客のニーズを深く理解し顧客の要望に応えることができます。これにより、企業のブランド価値や市場での優位性を強化することが可能です。
安藤:
共創マーケティングを実践するうえで、以下の点が重要になります。
1 ターゲットが登っている購買フェーズを理解する
2 ターゲット課題からユーザーストーリーを明確化する
共創マーケティングを成功させるためのポイントは、ターゲット顧客がどの購買フェーズにいるかを理解することです。これにより、顧客のニーズに合わせたコミュニケーション戦略を立てることが可能になります。
例えば、顧客が認知段階にいる場合は、ブランドや製品の認知を高める活動に重点を置く必要があります。一方で、検討段階にいる顧客には、製品の詳細情報や比較情報を提供することが重要です。
顧客の購買フェーズを正確に把握し、適切なメッセージをタイミングよく提供することが共創マーケティングを成功させるポイントの一つです。
また、ターゲット顧客の具体的な課題を理解し、それを基にユーザーストーリーを構築することも重要です。顧客の課題を深く理解することで、顧客の共感を呼び起こすストーリーを作成し、より強い関係を築くことができます。
ユーザーストーリーを作成するには、まず、キャンペーンの目標やKPIを設計し、顧客の課題やボトルネックを正確に把握します。具体的には、顧客が競合他社に流れてしまう原因や、購買に至らない要因を明確にし、顧客のニーズとその根拠を洗い出します。
その後、顧客に望む行動変化や態度変化を複数検討し、これらをストーリーの中でどのように展開するかを決定します。
安藤:
共創マーケティングの成功事例として、アルビオン様のエレガンスというブランドの「ラ プードル オートニュアンス」フェイスパウダーの30周年記念キャンペーンを紹介します。
この商材は「愛好家の方が多い」という特徴があります。そのため、愛好家の方々に感謝を伝えるキャンペーンを実施してはどうかと考えました。
「誰に」「何を」届けるのかという視点から、共創マーケティングのストーリー設計を行いました。まず愛用者に感謝のコメントをいただき、そのコメントが検討層や潜在層の人々に届くように設計しました。
キャンペーンでは、顕在層、検討層、潜在層といった、異なる特徴を持つ顧客が求める情報を考え、どのようなコメントが引き出せるのかを検討しました。
このような取り組みを行うことで、潜在層の顧客に向けて、顕在層の推奨コメントを伝えることが可能となり、顧客ロイヤリティの向上に繋がりました。
このキャンペーンは、ユーザーストーリーの設計に基づき、既存の愛用者からの推奨コメントを活用して、新たな潜在顧客層に製品の魅力を伝えることに成功しました。愛用者の生の声をキャンペーンの中心に据えることで、ブランドに対する信頼感と共感を生み出し、製品の魅力をより多くの人々に届けることができたのです。
愛用者の感謝の声を活かし、それを潜在層に向けて効果的に伝えることで、ブランドの価値と認知度を大きく向上させることに成功したキャンペーン事例と言えるでしょう。
林田:
Web広告だけでは、新規顧客獲得が難しくなってきています。情報過多の社会において似た商品やサービスが増加する中、広告費の高騰が課題となっています。特に1995年以降に生まれたZ世代は、従来の広告に対して抵抗感を持つ傾向があります。
消費者の行動は変化しています。Web広告よりも、友人や家族といった身近な人々からの口コミが購入の決め手となるケースが増えています。株式会社トリドリの調査によると、友人や家族の口コミを参考に商品を購入する人は約60%にも達するというデータがあります。
また、年間数千万円をWeb広告に投資したある企業では、既存顧客の半数以上が友人からの紹介によるものだったことがアンケート調査で判明しました。この調査結果は、Web広告よりも身近な人からの推薦が、新しい顧客獲得の鍵となることを示しています。
林田:
共創マーケティングにおいて、紹介制度の導入は顧客と企業の関係性を強めるための重要なポイントです。
紹介制度を通じて、既存顧客が友人や家族に製品やサービスを紹介し、新規顧客の共創が可能になるだけではありません。既存顧客との関係を強化することでロイヤル顧客の獲得へとつながり、ロイヤル顧客の意見を踏まえて商品やサービスの改善を行えるようになります。
紹介制度の確立には多くのメリットがあります。特に重要なポイントは、以下の2点です。
・購入頻度の高い顧客と出会える
・LTV(顧客生涯価値)が高い顧客と出会える
共創マーケティングを通じて、上記の顧客と出会える可能性が高まります。
売り切りモデルでは、「新規顧客を獲得し、短期的に売上を上げる」という特徴がありますが、顧客が解約した場合は売上が下がってしまうという問題があります。
一方、顧客維持モデルでは、既存のお客様にも満足していただける紹介キャンペーンを設計することで、顧客の維持が可能となります。そのため、長期的な売上の増加につながります。
紹介制度の確立により、積極的に紹介を行う顧客をロイヤリティの高いお客様として認識し、優良顧客の発掘に役立てることができます。そのため、他のマーケティング手法と比較して、顧客獲得単価を低く抑え、高いLTV(顧客生涯価値)を持つ顧客を見つけやすくなります。
紹介制度の導入事例として、食品ECの企業があります。この企業では紹介経由のコンバージョン率が40%を超えるという、驚異的な結果を残されました。
また、ブライダルジュエリーの業界では、紹介制度の導入により、他の施策に比べてCPA(顧客獲得単価)を10分の1に削減することができました。
さらに、脱毛サロンでは、現場告知を徹底した結果、紹介数が10倍に増加し、毎月200件前後の契約を獲得しています。
以下の共創マーケティングに関する質問に関して、解説を行います。
・共創マーケティングに適している業界は?
・リファラルマーケやSNSキャンペーンを効果的に実施するタイミングは?
・ファンが多い企業や商材じゃないと成功し辛いのでは?
安藤:
共創マーケティングは、口コミを生み出しやすい商材を扱う業界が適しています。日常生活に密接に関連した商材がある業界が良いでしょう。
また、特定のコアファンに訴求する業界も、共創マーケティングに向いています。そのため、共創マーケティングは広い業界で実践できると考えています。
林田:
脱毛サロンのような「店舗運営+高単価」の業界は、既存顧客からの口コミを通じて新規顧客を獲得しやすいです。高単価でリスクを感じる商材は、友人や家族の口コミが重要です。
キャリアコーチングのような目に見えないサービスも、体験した顧客がその価値を周囲に広める傾向があるため、共創マーケティングに適しています。
安藤:
SNSキャンペーンの場合は、新規アカウントの設立を告知するキャンペーンを行うことが一般的です。また、毎月定期的にフォロー&リツイートのキャンペーンを行い、1年間でフォロワー数を大幅に増やすことに成功した事例もあります。
そのため、SNSキャンペーンを効果的に実施するタイミングは、ターゲットとなるユーザーやフォロワーにどのようなアプローチを行うかによって異なります。
林田:
リファラル(紹介)マーケティングを実施する上で、既存顧客が全くいない状態でも、新規顧客の獲得と並行してリファラル活動を実施することをおすすめしています。
紹介が最も起きやすいタイミングは、商品を購入した直後やサービスを利用した直後です。時間が経過すると、その商品やサービスに対する印象が薄れるか、他の製品が注目されることがあるため、顧客が満足している瞬間に紹介キャンペーンを提示することが重要です。
顧客の満足度が高いタイミングでリファラルキャンペーンを実施することで、紹介が自然と広がりやすくなります。
林田:
紹介キャンペーンは、新規顧客の獲得だけでなく、既存のお客様の満足度を測る指標として活用することをおすすめしています。
紹介キャンペーンを実施した結果、紹介があまりされなかった場合、既存のサービスや商品に改善の余地がある可能性が考えられます。
このような気づきを活かしてサービスや商品を改善することで、紹介が自然に起きやすくなります。
安藤:
商材や企業にファンが少ない状態であっても、SNSキャンペーンを通じて顧客の関心を引き付けることが可能です。
例えば、性格診断のような診断キャンペーンを企画に組み込むことで、エンドユーザーの興味を喚起できます。多くの人々は「自分の性格を知りたい」という欲求を持っています。診断結果をSNSで共有することで、キャンペーンに参加できるような仕組みを設けると効果的です。
診断キャンペーンを活用して、診断結果の性格タイプに合った商材を推奨することもできます。そのため、ファンが少ない企業や商材でも、顧客の関心を引き付け、キャンペーンへの参加を促すことが可能です。
参考:今注目の診断キャンペーンとは!?特徴やメリット、実施の4ステップを解説【事例あり】
共創マーケティングは、単なるマーケティング手法ではなく、企業と顧客が協力して新しい価値を生み出すプロセスです。
実施する過程で、企業は顧客の声を取り入れ、新たなアイデアを創造し、信頼関係を構築できます。その結果、長期的なビジネスの成長につながる効果的なマーケティング手法です。
より詳しい情報や成功事例については、以下のYouTube動画もご覧ください。
タグ: BtoCマーケティング
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