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【事例アリ】SNSキャンペーンでの景表法の基礎知識を経験者が解説

【事例アリ】SNSキャンペーンでの景表法の基礎知識を経験者が解説

更新日|

2024/11/6 02:12

公開日|

2024/7/23 01:42

SNSキャンペーンは、多くのユーザーにリーチし、ロイヤルカスタマーを育てるのに最適な施策です。 しかし、景品を提供するキャンペーンでは、景品表示法(景表法)を遵守する必要があります。 当記事では、景品表示法(景表法)の注意点やプレゼント金額の上限、OK/NGを実際の事例をまじえて分かりやすく解説します。

※当コンテンツは、SNSキャンペーンツール「キャンつく」で3,000件超の支援実績を持つピクルスが監修しています。

SNSを使った懸賞キャンペーンのメリット

SNSを使った懸賞キャンペーンを行うメリットは次の通りです。

  • 拡散と口コミ効果で多くのユーザーにリーチできる

  • 場所・時間にしばられずに実施できる

  • ロイヤルカスタマーの育成に役立つ

以下では、SNSキャンペーンのメリットについてさらに詳しく紹介します。

拡散と口コミ効果で多くのユーザーにリーチできる

SNSを使った懸賞キャンペーンのメリットは、拡散と口コミ効果によって多くのユーザーに情報を伝えられることです。 SNSキャンペーンの参加時にフォローやシェアを条件にすることで、懸賞に参加したユーザーのフォロワーにもキャンペーンの情報を拡散できます。

場所・時間にしばられずに実施できる

場所、時間にしばられずに実行できることもSNSキャンペーンのメリットです。 SNSキャンペーンは、インターネット上で行われるため、ユーザーはスマホがあれば場所を問わず24時間いつでも参加できます。参加のハードルが低く、多くのユーザーを集めることが可能です。

ロイヤルカスタマーの育成に役立つ

SNSキャンペーンは、ロイヤルカスタマーの育成にも役立ちます。 企業がSNSで情報配信を行う目的は、フォロワーを増やしてユーザーとの接点を作り、コミュニケーションをとってロイヤルカスタマーを作ることです。

その点、SNSキャンペーンに参加するユーザーは、アカウントをフォローすることから始まるので、多くのフォロワーを集められます。

さらに、「シェア」する「投稿する」などのユーザーのアクションを促すことで、イベントに参加したことによるポジティブな体験やコミュニケーションを創出できるため、ロイヤルカスタマーを育成しやすいです。

したがって、SNSを使った懸賞キャンペーンは、継続的にユーザーと接触できる機会を作り、自社のファンを増やせる効果的なプロモーションと言えるでしょう。

景品表示法(景表法)とは? SNSでキャンペーン実施時の必須知識

景表法(けいひょうほう)とは、商品やサービスの提供者が、不適切な表現を用いて、プロモーションを行うことを規制する法律です。

消費者保護のため、消費者に誤認を与える表現を禁止し、公正な取引を促進する目的で定められています。 SNS懸賞キャンペーンは、効果的なプロモーション手法である一方、実施には景品表示法(景表法)に定められた決まりを守る必要があります。

なお、景表法による禁止・制限事項は「不当表示の禁止」「景品類の制限及び禁止」に分けられます。 次章では、この禁止・制限事項に関して詳しく解説します。

景表法の不当表示の禁止とは

景表法の不当表示の禁止とは、商品やサービスの提供者が、虚偽や誇大な表現を用いて宣伝することを禁止する規定です。具体的には、価格や品質、効果などを偽り、消費者を騙すことを禁止しています。

「知らなかった」「騙すつもりがなかった」としても、規制を破った場合は、処罰の対象となるので注意が必要です。 この景表法の不当表示の禁止は、「優良誤認」「有利誤認」に加え「その他」の3つにカテゴライズされます。

1.優良誤認

優良誤認とは、消費者に対して、商品やサービスが優れていることを、虚偽や誇大な表現を用いて宣伝することです。品質や規格、原産地、製造法などを偽るケースがあります。

例えば、

  • 牛肉の産地や、等級を偽って販売する

  • 塾の合格校実績を偽って宣伝に用いる

などがあげられます。 また、合理的な根拠がない効果や性能をうたうことも優良誤認表示とみなされます。

例えば、裏付けとなる実験データがないにも関わらず「99%のウィルスが除去できる」などの表現を行うことを禁止しています。

2.有利誤認

有利誤認とは、消費者に対して、料金や商品の内容量などを事実に反した表現を用いて「自社の商品が有利である」と宣伝することです。 例えば、「期間限定5割引」と宣伝していたが、実際は、通常価格の5割引になっていなかったケースや、「10年保証」と表示していたが、実際のアフターサービスは5年間だったケースなどがあげられます。

3.その他

その他、誤認されるおそれのある表示として、以下6種類が公正取引委員会から告示されています。

  • 無果汁の清涼飲料水などの表示

  • 商品の原産国に関する不当な表示

  • 消費者用の融資費用に関する不当な表示

  • おとり広告に関する表示

  • 不動産のおとり広告に関する表示

  • 有料老人ホームに関する不当な表示

各項目の詳細については、下記リンク先ページの下部より確認できます。

【参照元】消費者庁HP:表示規制の概要

景品類の制限及び禁止とは

景品表示法は、懸賞・プレゼントキャンペーンを行う際の、商品・サービスの提供者側が守らなければならない規則です。 高額なプレゼントで、消費者の射幸心をあおり、判断を誤らせないように、主に提供する景品・プレゼントなどの上限金額を規制しています。

また、懸賞・プレゼントキャンペーンは、実施内容によって、景表法の規制対象にならない場合と、景表法の規制対象となる場合があり、前者を「オープン懸賞」、後者を「クローズド懸賞」と呼びます。

SNSキャンペーン実施時に直接関わる法律ですので、きちんと内容を把握しておきましょう。

オープン懸賞とその金額は

オープン懸賞とは、誰もが応募できる懸賞です。応募にあたって「購入する」などの取引条件がつかない場合はオープン懸賞となります。 また、オープン懸賞は、景品表示法の規制を受けないため、提供する景品やサービスの金額の上限はありません。

オープン懸賞の例としては「SNSを通じてプレゼントキャンペーンを告知し、アカウントをフォローした対象者の中から抽選で当選者を選び、郵送で景品を送付する」などがあります。

3種類のクローズド懸賞とその金額は

クローズド懸賞とは、応募に際して条件を設定する懸賞です。例えば、商品を購入した人だけが応募できるSNSキャンペーンがクローズド懸賞に該当します。

クローズド懸賞は、景表法の規制対象にあたり、運営方法によって、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3種類に分類され、それぞれ、提供できる景品の上限金額が設定されています。 景表法に違反をすると罰則がありますので、必ず守るようにしましょう。  

1.一般懸賞とその金額は

一般懸賞とは、商品購入者やサービスの利用者が応募できる懸賞で、くじ引きでの当選者やクイズの当選者に対して、景品を提供します。

一般懸賞

また、抽選の方法でコンプガチャ(カード合わせ、絵合わせ)を用いることは、禁止行為としています。 コンプガチャとは、特定の組み合わせを集めた場合に当選とする方法です。 例えば、スマホゲームで「2枚上の特定のカードを集めると、特別なカードがもらえる」などの仕組みが該当します。  

2.共同懸賞とその金額は

共同懸賞とは、複数の事業者が共同して企画し、利用者に景品を提供する懸賞です。景品の上限金額は一般懸賞と比べて高額に設定できます。例えば、商店街の複数店舗が共同して、懸賞を企画し、店舗利用者に福引による景品を提供するなどのケースがあります。

共同懸賞

3.総付景品(そうづけけいひん)とその金額は

総付景品(ベタ付け景品)とは、抽選やクイズなどを行わず、商品の購入やサービスを利用した人全員に、景品を提供するキャンペーンです。全員プレゼント(全プレ)とも言われます。例えば、「ご来店者全員にボールペンをプレゼント」などが総付景品にあたります。

総付景品

また、応募者全員サービスも景品規制の対象となりえます。 応募者全員サービスとは、特定の商品を買った人だけが、購入する権利を得られるキャンペーンです。 例えば、雑誌の購入者だけが購入できる限定キャラクターグッズを販売する。などの手法が該当します。  

景表法に違反したときのリスク

景表法に違反した場合には以下のようなリスクがあります。

  1. 法的な罰則

  2. ブランドの毀損

ここでは、景表法に違反した際に起きるリスクについて詳しく解説します。

1.法的な罰則

景表法に違反の疑いがある場合、公正取引委員会、消費者庁、都道府県が調査を行い、違反が確定した場合には、以下の措置がとられます。

1-1.措置命令

調査の結果、景表法違反が認められた場合に消費者庁は、事業者に対して「措置命令」を発します。事業者は措置命令に従って行動をしなければなりません。 措置命令の内容例 ・違反したことを消費者に周知する ・再発防止策を作成し実行する ・違反行為を繰り返さない

1-2.刑事上の罰則

事業者が措置命令に従わなかった場合は、刑事罰が課せられます。 ・事業者の代表者などに対し2年以下の懲役、または300万円以下の罰金(両方課されるケースもあり) ・当該事業者に対し、3億円以下の罰金

1-3.課徴金

優良誤認表示または、有利誤認表示の違反を行った場合は、売上額の3%の課徴金が課せられる場合があります。

2.ブランドの毀損

措置命令を受けた事業者は、消費者庁のホームページなどで公表されます。また、不正な取引を行う企業として、SNSで拡散・炎上するリスクもあります。 企業ブランド、商品ブランドを毀損するリスクがありますので注意しましょう。

景表法の規制対象? SNSキャンペーンの具体例

これまで、景表法に関して解説してきましたが、実際に行う予定のキャンペーンが景表法の規制対象になる「クローズド懸賞」にあたるのか、規制の対象外である「オープン懸賞」にあたるのか、判断が難しい場合があります。

この判断のポイントは「顧客との取引が発生しているかどうか」が基準になります。 ここでは、実際のSNSキャンペーンの事例をあげて「オープン懸賞」と「クローズド懸賞」の違いを説明します。

事例1:フォロー&リツイート(リポスト)を用いてプレゼントを行うSNSキャンペーン

ケース1.
SNSで自社のアカウントをフォローして、「いいね」を押すと応募できるプレゼントを実施し、当選者には郵送で景品を送付する場合

この場合、フォローや「いいね」を押すことは、商品の購入に直接的につながらないと判断されます。「取引」が発生していないため、「オープン懸賞」とみなし景品規制の対象外のキャンペーンです。

事例2:アカウントをフォローし、商品の使用感を投稿した人は当選確率がアップするSNSキャンペーン

ケース2.
SNSで自社のアカウントをフォローし、商品の使用感を指定の#タグをつけて投稿すると当選者が2倍になるキャンペーンの場合

この場合、商品の使用感を投稿するために、商品の購入が伴います。その際に「取引」が発生するため、「クローズド懸賞」とみなし景品規制の対象となるキャンペーンです。

事例3:アカウントをフォローした上で、店舗への来店者にプレゼントを提供するSNSキャンペーン

ケース3.
アカウントをフォローした上で、店舗へ来店したユーザーにプレゼントを提供するキャンペーンの場合

この場合、フォローや「いいね」は直接的な取引にあたりませんが、商品の受け渡しは、来店が条件となります。条件がある取引となり、「クローズド懸賞」とみなし景品規制の対象となるキャンペーンです。

SNSキャンペーン事例紹介

ここでは、実際に企業が実施した、オープン懸賞とクローズド懸賞の事例を紹介します。

オープン懸賞の事例:短期間で3万フォロワーのアカウントに成長!SNSキャンペーン

「あいすまんじゅう」や「白くまアイス」を販売する丸永製菓株式会社様は、Xのアカウント運用を開始したものの、細かな運営まで手が回らずに、フォロワーの数が伸び悩んでいました。 そこで、SNSでのプロモーションに力をいれるべく、株式会社ピクルスに委託し、キャンペーンツール「キャンつく」を利用したオープン懸賞を実施しました。

フォロワーに対して「アイス」をプレゼントするシンプルなオープン懸賞でしたが、わずか3ヶ月で3万フォロワーの獲得に成功。今後は、獲得したフォロワーとのコミュニケーションを強化し、自社キャラクターのブランディングを強化していく予定です。

クローズド懸賞の事例:instagramに購入したメガネを投稿でメガネスタンドが当たる

紫外線で色が変わるメガネ「トランジジョンズ」を販売する株式会社ニコンは、SNSキャンペーンを株式会社ピクルスに委託し、Instagramを活用したハッシュタグキャンペーンを実施しました。

実際に商品を購入し、その写真と共に「#トランジジョンズをかけていこう」と投稿すると、抽選で「5万円分の旅行券」「オリジナルメガネスタンド」が当たるユーザー参加型のキャンペーンです。

ユーザーの投稿がコンテンツとなり、さらに口コミを呼びSNSを活性化、より多くのユーザーにリーチして認知拡大や購買意欲の向上に貢献しました。

SNSキャンペーンを実施する際の注意点

SNSキャンペーンは、多くの人に拡散し、商品やサービスを効率的に宣伝できるメリットがある一方で、実施の際には、いくつかの注意が必要です。 ここでは、SNSキャンペーンを実施する際におさえておくべきポイントを紹介します。

景表法とステルスマーケティング

景表法の遵守に加えて注意したいポイントがステルスマーケティング規制(ステマ)です。 ステルスマーケティングとは、宣伝であることを消費者に気づかれないように宣伝を行う手法です。

消費者を欺いて商品購入を促す行為として、2023年10月より景品表示法の規制対象になりました。 SNSキャンペーンを行う際には、ステルスマーケティングとならないように、表記に注意しましょう。

関連記事:【10月施行】ステマ規制とは?事例から学ぶ正しい対応と回避のポイント

SNS運営会社のガイドラインを守る

SNSの利用には、SNS運営会社が定めるガイドラインがあります。これを知らずに運用すると、運営会社から、アカウントの凍結(停止)や、最悪アカウントの削除(アカバン)をされてしまう可能性があります。

せっかく育てた自社のアカウントが凍結されてしまっては、いままでの投資が無駄になってしまいます。 SNS運営会社が定めるガイドラインをよく確認し、その範囲内での運営を行うようにしましょう。

顧客とのコミュニケーションを重視する

SNSキャンペーンのメリットは、SNSを通じたコミュニケーションを通して、ユーザーとのエンゲージを高め、ファンを作ることです。一方で、このコミュニケーションが適切にできなかった場合は、クレームにつながる可能性もあります。

トラブルを防止するためにも、SNSキャンペーンの際は「コミュニケーションルールの策定」「対応するスタッフの確保」などを行い、万全な体制を整えましょう。

SNSキャンペーンの実施には、専門の外注業者の活用も

SNSキャンペーンを成功させるためには、各種法規制、ガイドラインを理解した上で、ユーザーコミュニケーションを適切に行うスタッフの確保が必要です。 これらを社内のスタッフのみで実施する際には、多大な時間とコストが発生してしまいます。

この問題を解決する方法として、専門の企業に運営を委託する方法があります。ノウハウを持った企業の支援を受ければ、最小限の労力で最大の効果が期待できるでしょう。

関連記事:【2024年最新】SNSキャンペーン代行会社おすすめ15選|選び方やメリット・デメリットを解説

まとめ

SNSキャンペーンは、多くのユーザーにリーチし、自社のロイヤルカスタマーを育てる大きなメリットがあります。一方で、景表法に関するノウハウを持たずに実行すると、罰金や刑事罰、ブランド毀損などのリスクが生まれます。

また、大切なお客様と適切なコミュニケーションを行う運営能力が求められます。そのため、SNSキャンペーンを実施する際には、ノウハウを持った外部の支援会社の活用も視野にいれて検討しましょう。

3,000件以上のSNSキャンペーンを支援してきたキャンつくに相談したい人は、ぜひこちらからお問い合わせください。

ライター|

J.F(ジェイエフ)

大手企業・ベンチャー企業にて、新規事業のPMを歴任。圧倒的な実践経験で上流戦略から現場までフルスタックで事業の成長にコミットするグロースハッカー。

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