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< 記事一覧カラーブランディングとは、色が与えるイメージを自社のブランドに活用し、統一感、さらにはブランド価値の向上を図るものです。本記事では、基本的な色についての知識と活用方法、そして、カラーブランディング実行プロセスについて解説します。
公開日:2023.8.25
食品スーパーのインスタントラーメン売場にある「セピア、白、オレンジ」の色の組み合わせによるパッケージの商品といえば何でしょうか?
商品名を確認しなくても「チキンラーメン」だと思う人が多いはずです。
発売当初から同じデザインを使用し続け、今ではパッケージを見るだけで「チキンラーメン」と認識されるようになり、そのデザインはブランドの一部となっています。
他にも色の組み合わせだけでブランド名が思い浮かぶものはあります。例えば、UCC上島珈琲の「ミルクコーヒー」(茶、赤、白)、トンボ鉛筆の消しゴム「MONO」(青、白、黒)などです。
2015年に特許庁は「色彩のみからなる商標」を新設しました。出願件数も年々増加しており、新たなブランド価値として注目されています。上記3つのブランドも同商標に登録されています。
この記事では、ブランドにおいて重要な要素となる「色」について、色が与えるイメージや役割、そして、カラーブランディングの活用プロセスについて解説します。
目次
カラーブランディングの説明の前に、ブランドとは何かについて説明します。
ブランドには、以下3つの機能があるとされています。
保証機能とは、企業がその製品・サービスの品質に対しての責任の所在を明確にすることです。店頭にパナソニックの乾電池とブランド名のない乾電池が並んでいるとします。このとき、パナソニックの乾電池の方には「丈夫で長持ち」という信頼感がブランドによって醸成されているのが保証機能に該当します。
識別機能とは、他社の類似した商品・サービスと違うことを示す機能です。自社の商品・サービスの品質に自信があっても顧客が実際に違いを認識しなくてはその価値を認めることはできません。顧客がわかる形で識別できることがブランドの機能となります。
想起機能とは、そのブランドを目にすることによって顧客の心の中で、特有の知識や感情、イメージが湧き起こってくる機能を指します。想起機能はブランドが資産価値として評価される所以となるものです。
たとえば、「コーラといえば」と聞かれると、「コカ・コーラ」や「ペプシ」と答える人が多いでしょう。商品カテゴリーから、ブランド名が思い起こされる確率が高いほど、そのブランド価値は高いと言えます。さらに、コカ・コーラであれば「さわやか、清涼感」といったブランドイメージが確立されているはずです。
このようにブランドには3つの基本機能があります。では、ブランドはどういった要素から構成されているのでしょうか?
ブランド要素を一言で表すならば、顧客が自社製品・サービスを識別する際の手がかりとなるものです。
ブランドを識別する目印として、ブランド・ネーム、ロゴ、シンボル、キャラクター、パッケージ、スローガンなどがあります。これらの要素が、人の五感を刺激して、言語的なメッセージとともに記憶され、ブランド認知、イメージの向上に繋がっています。
ブランド要素の確立において重要なことは「一貫性」を保つことです。一貫性を失うとブランド価値は構築されません。ブランドの一貫性を保つ上で、重要な手段となるのが色彩の統一です。
色はブランド要素のすべてに影響を与えるものであり、「カラーブランディング」としてマーケティング戦略に取り入れられています。
先ほど、ブランド要素が人間の五感を刺激すると説明しましたが、人間は85%以上の情報を「視覚」から得ていると言われています。「色」は、「視覚」を直接的に刺激し、感情や生理現象に影響を与えるのです。
たとえば、赤色は交感神経を刺激してエネルギーや熱気、危険を感じさせます。一方で、青色は、静けさや冷たさを感じさせます。このように、「色」は直接的に脳に刺激を与えるからこそ、脳において認識される最初のブランド要素と言えるわけです。
色によって特定のブランドが想起されるようになることは、そのブランドが顧客の心に深く定着していることを意味します。例えば、緑色のロゴのカフェは?と聞かれて、「スターバックス」を挙げる人は多いと思います。スターバックスのブランドカラーである緑が顧客の心に定着しているということです。
ブランドにおける色の役割について理解いただけたところで、次に「色とは何か」についての基本を確認しておきましょう。
「色」には、3つの要素があると言われています。それは、色相、明度、彩度です。
色相とは、赤、青、緑、オレンジなどの色味の違いのことを言います。虹色の変化にそってぐるっと丸くつながったドーナツのような形状のものを色相環といいます。
明度とは色の明るさの度合いのことで、白の割合が多いと明度は高くなります。彩度は、鮮やかさのことを指し、灰色の割合が高くなるほど低彩度です。
明度と彩度の組み合わせのことをトーンと呼び、色相環はトーンによって何パターンも作ることができます。色を選ぶ際には、トーンを揃えることで全体の統一感を出すことができるため、しっかりと吟味しましょう。
色相環の向かい合った色のことを補色と言います。補色同士を組み合わせると色のコントラストが強くなりはっきりと目立つようになります。逆に、色相が近い同系色を組み合わせると落ち着いた雰囲気を作れます。
「色は何色あるのか?」という疑問を持たれる人がいるかもしれません。
JIS規格では、慣用色として269色が登録されています。また、デザイナーなどが用いる「PANTONE」の色見本帳の色は2100色です。見え方には個人差もあり、現実には色の数は無限大に存在すると言ってもよいでしょう。
ここまでは色の基本についてご説明しました。次に代表的な色の与えるイメージを説明します。
与えるイメージ:エネルギー、力、能力、禁止、注意
最も強い色とされています。エネルギーに満ちあふれて、情熱や興奮といった感情があてはまります。政治家が「パワーネクタイ」として赤を選ぶことが多いのも力強いリーダーシップを示そうという意図が表れているのでしょう。
デパートのセール品の表示も赤色が選ばれます。食欲を旺盛にする効果もあり、ファーストフードチェーンでは赤色がよく使用されています。
一方で、赤色は危険や注意を呼び起こす色でもあり、使用する際にはその点を考慮しておいた方がよいでしょう。
与えるイメージ:知的、落ち着き、冷たさ、静けさ、爽快感、清潔感、悲しみ
創造力を引き出す色です。信用力や落ち着き、誠実さを感じる色とされています。
食品のパッケージに用いられると新鮮さや低カロリーな印象を与えます。ただし、食材自体には青色は存在せず、肉類や温かい飲み物などに用いると無意識に毒を意識させるため、青色のパッケージは避けた方がよいとされています。
新鮮さが求められる牛乳類のパッケージにはよく青色が用いられています。
与えるイメージ:陽気、奇抜、幸福、光
太陽のような明るく元気な色です。一方で黄色は老若男女を問わず嫌いな人も多い色とされています。
ビタミンの色のイメージがあり健康食品やサプリにはよく用いられます。補色である黒と組み合わせると最も目立つ配色となります。
黄色をブランドカラーに取り入れている企業としては、カメラメーカーの株式会社ニコンがあります。設立当初の企業名、日本光学工業にも由来しますが、黄色は未来を照らす光を表しているそうです。
与えるイメージ:リラックス、自然、安全、新鮮
環境に配慮した商品などによく用いられています。
目に優しい色ということで飲食店や人が集まり騒がしい場所も元気と安らぎを与えてくれます。
スターバックスの緑色のロゴには、ゆっくりとくつろげるカフェであるというメッセージが込められているのでしょう。
与えるイメージ:生きる喜び、興奮、変化
気持ちに刺激を与えて、食欲を増進し、お腹の調子を良くする色です。
黄色と赤の中間に位置し、赤色よりはマイルドな印象となります。
オレンジをブランドカラーに採用している例としては、フランスの高級品ブランド、エルメスが有名です。オレンジを採用した背景には、第二次大戦中の物資不足で印刷屋が調達できた唯一の色だったからだそうです。
一度、定着したものを守り続けることによってブランド価値の構築につながっています。
与えるイメージ:神秘、精神性、尊厳、地位、大人
神秘的で、大人、また高貴なイメージを与えます。芸術的な印象も強いです。
謎めいた印象を与えるため、香水や香木などにもよく用いられます。
紫を採用している企業としては楽器製造のヤマハ株式会社があります。楽器の芸術性、品位の高さを表しています。
このようにそれぞれの色が異なるイメージを与えるのはご理解いただけたかと思います。では実際にどの色を自社のブランディングに採用するのか決めるプロセスについて見ていきましょう。
どの色を選ぶのかは以下の5つのプロセスがあります。
順番にご説明します。
社内メンバーで顧客に抱いてもらいたいと思うイメージをブレーンストーミングで出し合います。
出てきたキーワードをグループ化して最も重要なものを絞り込みましょう。
カテゴリーによってよく使われる色が何かを分析します。
例えば、食品の中でも肉類であれば赤や黄色などの暖色系が使われることが多いことは前述の通りです。トップブランドのカラーが顧客の心の中に定着していることもあります。
先ほど説明しましたように色にはそれぞれ与えるイメージがあるため、キーワードに近いイメージの色を選択しましょう。
注意すべきこととして、色のイメージには世界共通のものもあれば、地域によって全く印象が異なるものがあります。
例えば、黄色は中国では古くから高位の色とされていましたが、西洋ではそのような見方はされません。
グローバルに展開することを念頭に入れている場合には、各地域の違いを認識した上で選んだほうが良いでしょう。
カテゴリー内の定番カラーと自社のキーワードから、差別化要因に注目して代表となるブランドカラーを選びます。
同一カテゴリー内の色が顧客の意識に強く根付いている場合には、違う色を選択するのは奇抜と捉えられ、勇気が必要です。
しかし、後ほどご紹介する珈琲豆の事例のように差別化要因となる可能性もありますので慎重に選ぶことをおすすめします。
最後に基本となる色をベースにして配色を決めます。
全体を通しても言えることですが、デザイナーやカラーコーディネーターなどの専門家の協力が必要になってくるでしょう。
カラーブランディングの事例として、味の素A G F株式会社の珈琲豆ブランド「ちょっと贅沢な珈琲店」をご紹介します。
この商品は2007年に発売が開始され、ブランド名の示す通りレギュラー品よりも少し高級グレードと位置付けられています。コロナ禍のおうち時間の増加の影響もあり売上は好調だそうです。
注目すべきことは、この商品のパッケージに用いられている色が深海のような濃いブルーであることです。
珈琲豆のブランドで用いられるのは、赤、オレンジ、茶色などの暖色系が一般的です。特に青色は西洋ではデカフェの色と認識されているケースもあり通常品には使いづらい色とされてきました。
しかし、あえてパッケージを青色にしたことで、通常品とは違う高級感を引き出しています。実際にスーパーの陳列棚に並べられた商品を見るとブルーのパッケージが目を引いています。
これには仕掛けがあります。青色は茶色の補色であり茶系との対比が最も強く出る色なのです。茶系の多い商品群の中で青色のパッケージは際立っています。
このように定番の色から見ると「掟破り」と思われるような色を選ぶことで成功している事例もあります。
「掟破り」の色を選ぶことは競合品との差別化に成功する可能性はありますが、やはり勇気が必要です。
珈琲豆の例でも、もし陳列棚の一番端に置かれてしまっていたら同じ商品カテゴリーと認識されなくなるリスクは存在します。商品コンセプトと照らし合わせて慎重に検討しましょう。
カラーブランディングの構築プロセスをご紹介しました。ブランド構築のための重要要素として取り組んでみてください。
カラーブランディングにおいて、知っておくべき色の意味、構築プロセスについてご紹介しました。
色にはそれぞれ与えるイメージがあり、色の組み合わせによってもそのイメージは変わります。それらを理解した上でカラーブランディングを実行できれば、自社のブランド価値を向上させることができるでしょう。
一方で、流行色やデザインなど幅広い知識が必要となるのも事実です。社内外の協力を仰ぎつつ、常に感度を磨きながらカラーブランディングに取り組んでください。
当メディアを運営する株式会社ピクルスでは、SNSキャンペーンによるブランディング支援も行っています。
多くのユーザーが参加し、拡散するSNSキャンペーンは、ブランド認知度と信頼性を高めるのに効果的です。
下記でキャンペーンの成功事例を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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